IP無線機が災害時にも有用な理由
災害時の通信手段として何を考えていますか?
スマートフォンなどの携帯電話を通信手段として考えていらっしゃる方が多いのではないでしょうか?
確かに1対1の連絡であれば、携帯電話で十分かも知れません。けれども複数の人達と一斉に連絡を取る必要がある場合は携帯電話ではかなり不便です。
会社やグループの場合は一斉に連絡を取ることが出来るIP無線機での通信をお勧めします。その理由について探ってみることにしましょう。
通信エリアが広い
IP無線機を災害時の通信手段としてお勧めする理由として、次の3つがあげられます。
- 1.通信エリアが広い
- 2.混信に非常に強い
- 3.GPS機能で位置の把握が可能
まずは、IP無線機の通信方法について簡単に説明しておくことにしましょう。
IP無線機は、携帯電話の通信網を利用して無線通信する仕組みになっています。つまり、音声をパケット化して携帯電話の通信網に乗せて通信を行なうという方法を取っています。
それならスマートフォンのトランシーバーアプリで十分なのでは?と思う方もいらっしゃると思います。確かに複数の人達と同時に通信を行なうことも出来ますが、このアプリには大きな欠点が二つあります。
一つは、使う度に起ち上げなさなければならないという点と、もう一つは電池の消耗が大変激しいという点があります。
使う度にアプリを立ち上げ直すのは思っている以上にかなり面倒なものです。また電力の供給が不安定になることが予想される災害時には、出来る限りスマートフォンなどの電池は温存しておきたいものです。そんな状況の時に電池の消耗が激しい方法を使って通信を行なう方法は出来る限り避けた方が賢明です。
これらの欠点を考えると、災害時にスマートフォンのトランシーバーアプリを利用することは、あまりお勧め出来る方法ではないと言えます。
IP無線機の通信方法について説明させて頂きましたが、IP無線機の通信エリアが広い理由については、もうお分かり頂けたのではないでしょうか?IP無線機は携帯電話の通信網を利用していますので、携帯電話がつながる場所であれば日本全国どこででもIP無線機を使って通信することが可能なのです。
最近では、地下鉄でも携帯電話がつながるようになりましたので、IP無線機は携帯電話の通信エリア拡大に伴ってこれからもどんどん拡大し続けて行くことでしょう。
操作が非常に簡単
IP無線機は特定小電力トランシーバーと同様に免許や資格が不要で、誰でも使用することができます。
大規模な災害が発生した場合、災害が起きていない時からの訓練を行っていなければ普段使用していない物やシステムを急に使いこなすことは難しく、対応が遅れる可能性が高いです。
ですが、IP無線機であれば操作も非常に簡単で、専門的な知識を覚える必要がありません。
日常で無線機に触れることのない方々でも、簡単に使うことができます。
また、仕事によっては普段の業務で取り入れ、業務を通じて慣れていくことも出来ます。
誰でも簡単に使用できる、というのは災害を含めた緊急時では大きなメリットとなるでしょう。
混信に非常に強い
そして、IP無線機を通信手段として使う場合の最大のメリットとも言えるのが、混信に非常に強いという点になります。
従来の無線機を使って無線通信を行なったことがある方ならお分かり頂けると思いますが、無線通信の最大のウィークポイントは「混信しやすい」という点にあります。
ご存知の方も多いとは思いますが、通常の無線通信では、使うことが出来る周波数やチャンネルが限定されてしまっています。そのため、同じ周波数で同じチャンネルを使ってしまうと混信が起こってしまい、その結果として通信障害が発生し、無線通信を行なうことが出来なくなってしまうのです。これまでの無線通信は、ある意味椅子取りゲームと似ているところがあります。椅子の数が決まっていますので、その数を超えてしまうと利用することが出来なくなってしまいます。
従来の無線機を使った通信は、平常時でも混信が起こってしまっているのですから、災害時にはあちこちで混信が起こってしまって大混乱をきたしてしまうのではないでしょうか?
これに対してIP無線機による通信の場合は、携帯電話の通信網を利用して、音声をパケット化してメールのように変換して通話を行なうという方法を取っています。この方法を使うことで、混信を防ぐことが可能になります。
普段私たちは、メールやSNSによる通信を利用していますが、メールやSNSによる通信は、IPアドレスに対して直接通信を行なうという方法を使っています。
ご存知の方も多いと思いますが、ここでIPアドレスについて簡単に説明しておくことにしましょう。IPアドレスとはInternet Protocol Addressの略で、インターネット上に接続された機器ひとつひとつが持っている識別番号になります。データをネットワーク上で送信したり受信したりする際に、このIPアドレスがあるため通信相手を間違えることのなくデータを届けたり受け取ったりすることが出来るのです。このIPアドレスはプロバイダーと契約した時点でプロバイダーから割り当てられます。
つまりIP無線機を利用した通信は、携帯電話の通信網を利用して通信を行ないますので、メールやSNS等の通信方法と同じようにIPアドレスに直接通信を行なうことになります。住まいとしての住所に同じ住所が存在しないのと同じように、インターネット上の住所にも同じIPアドレスは存在しません。そのため混信することがまずない通信手段ですので、IP無線機は災害時に活躍する通信手段と言えます。
GPS機能で位置の把握もできる
さらにIP無線機は、GPS機能を利用することが出来ます。この機能を使えば、どこに誰がいるかといった所在確認を簡単に行なうことが可能になります。災害時に対象者の位置確認を行なうことが出来るというのは、とても重要なことです。
災害時に最初に行なわなければいけないことは、ご存知の通り従業員や仲間の「安否確認」を行なうことですが、平常時では簡単に行なえることですが、災害時となると想像以上に大変なケースもあります。災害時は、移動手段や交通手段が分断されたり利用出来なくなったりしてしまいますので、近くにいたとしても所在の確認を行なうことが難しい状況が想定されます。
GPS機能についてご存知の方も多いとは思いますが、GPS機能を利用するメリットを理解して頂くために、少し詳しく見てみたいと思います。
GPSとは、Global Positioning Systemの略で、衛星を使って位置情報を測定することが出来るシステムになります。
GPS機能がスマートフォンや携帯電話への搭載が義務づけられていますが、その理由は、GPS機能が緊急通報位置通知システムに組み込まれているからです。このシステムを利用することで、通報者が緊急通報を行なった際には、通報者の位置情報が自動に通報される仕組みになっています。
スマートフォンや携帯電話には、緊急通報を行なった際にこの緊急通報位置通知システムへの対応が自動に行なわれるようにセットすることが義務づけられています。
これまで、スマートフォンや携帯電話を紛失してしまった時にGPS機能を使って大体の位置を把握した経験がある方もいるのではないでしょうか?
GPS機能は衛星からの電波が届きにくい地下やトンネル内では誤差が生じてしまうこともあります。こうした誤差を少なくするために、スマートフォンや携帯電話では基地局やWi-Fiのアクセスポイントを使った測位法を組み合わせたりすることで精度が向上しています。
GPS機能による位置確認は、多少の誤差が発生してしまう可能性はゼロではありませんが、本来、通報者の緊急時の位置確認を目的として搭載されている機能ですので、災害時の位置確認の利用に十分に対応出来る精度と言えるでしょう。
また、GPS機能を利用すれば、もし、不慣れな場所で被災してしまった場合でも、地図アプリと連動させることで、ご自身の道案内に利用することも出来れば、相手を安全な場所に誘導するのに活用することも出来ます。
IP無線機が災害時の通信手段として有用な理由について見てきましたが、従来の無線通信とは比べ物にならない程通信が安定していることをお分かり頂けたのではないかと思います。混信にとても強いということは、混乱が想定される災害時の通信手段選択のキーポイントと言えます。一刻も早く連絡を取ることが出来るというのは生命の危険を回避するためにも大切なポイントと言えます。これに加えてGPS機能を利用して位置確認を行なうことが出来るのであれば、災害時により安全を確保しやすくなるではないでしょうか?
IP無線機は広いエリアで利用することが出来ますので、これらの点を考慮すると災害時にも大変有用な通信手段としてお勧めします。
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